食べる意欲に乏しい子供は…

以前に、「噛まない児」「噛めない児」が問題になりました。
今日は そのような問題が人格の成長に大きく影響すると言われていることのお話です。

かつて 岡山大学で「食べることに対する意欲が強い児と、乏しい児(口の中に食べ物をためたまま飲み込もうとしない等)について
幼稚園での生活行動とのつながり」という調査がありました。
その結果は次のようなものでした。

食べる意欲の強い児は その意欲のない児に比較して
〇何事にも積極的である。
〇椅子に座ると背筋が伸びている。
〇みんなとよく遊び、友達が多い。
〇規則を守れる。
〇運動能力が高く、健康である。
という明らかな傾向があると発表されています。
つまり 食べる意欲が生きる意欲につながっているのではないでしょうか?

この食べる意欲に乏しいことの一番大きな理由は、飽食の時代が考えられます。
貧困の時代と言われながら 世の中には食べ物が溢れ、テレビではグルメ番組が氾濫した現代です。
いとも簡単に食べ物が手に入り、小さい頃から空腹感をあまり体験しないので、
食べたいという意欲がうすれています。

本来 食欲を満たすことは、人間にとって最も基本的欲求だったのです。
そして空腹感に耐えながら人間としての生きる力を培ってきたと思われます。
そのように考えると 満たされ過ぎた子供たちの未来も少し心配になります。

今、日本の子供たちの多くは 便利で豊かな生活を送っていますが、
反面、遊ぶ場所と時間と空腹感を奪われています。

動物や植物ではどうでしょうか?
動物の中でも かつての腹を空かせた犬は、知らない人間がやってくると猛然と吠えたて
主人には精一杯尻尾を振って 愛嬌をふりまいていました。
ところが 最近の犬(室内犬)は、遊ぶ場所が失われ、いつも餌を与えられ、室内に住み
一日中寝転がり、慢性病(糖尿病や歯周病)を抱えているそうです。
現代の子供たちに似た生活ではないでしょうか。

次に植物の分野ではどうでしょうか?
農業では稲の収穫をあげるため、早く大きくして実らせる事が大切です。
そのためには地中の浅いところに肥料を与えるのです。
すると植物は無理に根を深く伸ばさなくても簡単に養分が得られ早く茎が大きくなります。
一方、地中の深いところに肥料を与えると、植物は頑張って根を深いところまで伸ばさなければならないのです。
その努力のため 養分は取られ成長の速度は遅くなりますが 最終的には追いつきます。
最近は深いところに肥料を与えた方が 天災に強いことがわかっています。
風が吹いても倒れにくく、干ばつでも地中の水分を補給でき枯れにくいのです。

先程の犬や稲の例を見ると「子供に空腹感を与える」ことの意味がわかるような気がしませんか。