加齢に伴う歯周病と咀嚼の重要性

歯周病を予防する。ということは、歯の残存指数を維持するだけでなく、咀嚼機能を維持するということにもつながります。

 

皆さま、8020運動という言葉を聞かれたことはございますでしょうか?最近では有名になってきましたが、80歳で20本以上歯を残そう!という運動です。

 

20本あれば、食品の咀嚼が容易であるとされており、日本人の平均寿命の80歳で20本の歯を残そうと目標を立てます。

 

高齢化社会の中で歯を残すということはとても重要なことですが、ただ歯を残せばいいの?

ということではありません。要介護高齢者などの介護現場では、「歯が残ることで食べかす

が溜まりやすくなる。」「自分の手で歯を磨くことが出来なくなることで、介護の手間を要する。」などの意見も出ています。

 

高齢者に求められる、歯周病予防、咀嚼能力とは何なのでしょうか?

 

歯周病によって歯が失われるということは、咀嚼能力も失われるということです。

なので失われた歯に、入れ歯などの補綴治療を行うことが重要であることは明白です。

 

一般的に、人のかむ力の最大は、その人の体重程度と言われています。

さらに、咀嚼するときに加わる力は、咬む力の最大力のせいぜい25~30%に納まっていますが、入れ歯で咬む場合の咀嚼能力は健全な時の半分以下になってしまうだけでなく、

上あごが入れ歯に覆われることで失われる感覚を伴うことから食事形態に変化が起きることは避けられません。

 

また、舌は体の中で最も感覚器官に優れています。

咀嚼時に食べ物を歯の上に誘導したり、食べ物を移動させることによってお口全体を使って咀嚼機能が営まれています。

 

このように、咀嚼運動を行うためには、多くの器官が使われます。はもちろんのこと、それを支える歯周組織顎の骨咀嚼筋、じん帯、舌、口腔粘膜、唾液腺の他、五感として

視覚、聴覚、臭覚などの情報が、大脳をはじめとする中核に集約されて咀嚼運動が完成します。

 

しかし、ただ単に歯周病の予防をして歯を残して、硬いものを咬む。何回も咬むことが究極のゴールではありません

 

空腹でない状態でおいしいものを食べても満足感は得られません。

沖縄の郷土料理を東京の人が食べれば、珍しい味ではあっても、懐かしい味とはなりません。

 

つまり歯周病と咀嚼について考えるということは、咀嚼機能を含めた本人の生活環境や食のQOL(生活の質)を考えるということなのです。